Our Story

ヒマラヤの朝

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ヒマラヤの朝

ヒマラヤの茶畑で感じた雄大な時間。

何万年も前からそこに存在していた圧倒的に大きな存在である自然を前に、自分たちの小ささや今存在していることの奇跡に驚き感謝する。都市の生活の中で想いを馳せることがほとんどなかった大きな時間の存在を意識した。

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凍えるように寒いヒマラヤの麓の町での朝、毎日そこに暮らす住民たちと一杯のチヤ(お茶)を共に飲む。

静けさの中でかすかに聞こえる朝の音に心地よく耳を傾けていると、朝日が次第に山を照らし始め、チヤと共に私たちの体と心を温めてくれた。

夜明けから朝に移り、誰の顔にも少しほっとした安心感と笑顔が浮かび始める。

朝がきた。

建物を出て外にでると、視界に眩しいヒマラヤの山々が飛び込んできた。太陽に照らされ輝く茶畑。光の層が緑の上でキラキラと踊っているように見える。ここには圧倒的な自然が目の前にあるので、余計なことは考えることができない。少し茫然とする。

茶畑のある集落へたどり着くまでの道のりは決して簡単なものではなかったし、時折思い出したように戻ってくる高山病特有の頭痛が、私達がずっと下から登ってきたことを思い出せた。それでも今私はここにいるということは、この雄大な自然が私たちを受け入れてくれたということのようだ。

紅茶の芳しい香り。香ばしさとほんのりとした甘さ。なにものにも変えがたい至福の時間。

私たちはこの大きな時間の中の一部なのだ。ここでの時間はぐっと引き延ばされたかのように大きく、どこか心地いい。この感覚を下へ降りても私は忘れないでいたいし、伝えたい。時空、遺産、継承、温もり。

人々は、ただ毎日を生きていた。

2020年某日、ネパール Pathivara村

西と東の交差点/Cross Point

現在のネパールの首都であるカトマンズのある盆地一帯を示すカトマンズバーレー(カトマンズ渓谷)は、周囲の山から川が流れ込み、水が豊富で耕作に適した肥沃な大地のため、古くから街として栄え、様々な宗教文化が行き交い栄えた土地だ。紀元前7Cごろには、すでに統治国家が誕生していたと考えられている。訪れたことのある者にどこか懐かしさ、タイムスリップしてしまったような感覚を与えるカトマンズの街並み。それは、何千年も前からそこを往来してきた文化、歴史、人々の気配がそう感じさせるのかもしれない。交差する街、Cross Point。西や東の文化が行き交う交差点に位置したこの町が見てきたドラマティックな時間の流れに、思わず想いを馳せてしまう、そんな風景が広がっていた。

2020年某日、ネパール、カトマンズ

お茶が結ぶ「場」Chiyaba

古今東西、地域を問わず、お茶は人々の憩いの場にかかせない飲み物だった。人が集まり、お茶を飲みながらたわいのない話をする。太古の昔から、そんな場所が新しい文化を生んできたのかもしれない。

家族や仕事の話、芸術や音楽、政治など様々な事柄について、心置きなくお茶を飲みながら話をする場所。そんな人々が止まっては去っていくクロスポイントとなるような、お茶を通した「場」作りをしたい。東京の生活の中でも、あのゆったりとした時間の流れを味わったり、人々の交流する場をつくりたい。

そうして、CHIYA-BAが誕生しました。

2022年3月5日、東京

Text: Asumi Adhikari
Photo: Kanchan Adhikari